管理職の役割とスキル

会社組織の役割を理解せず指示命令系統の統一を守らない組織の末路

サラリーマンは組織社会のなかで生きています

企業では、組織が形成され、そのなかで、ライン系統、責任や権限、実施職務が決められています。

会社組織は社長を筆頭に、事業部、部、課、係といったまとまりをつくり、そのまとまりごとに、企画、営業、設計、製造、総務、人事、経理といった役割をもたせます。

各まとまりには、管理職がおり、それぞれ統括しています。

そして、効率的かつ円滑な業務遂行のために役割や責任が明確に定義され、指示命令系統が統一されるように設計されています。

このような組織には、社員が役割や責任を理解し、指示命令系統を守ることで、業務が円滑に進み、成果が出やすくなります。

役割や責任を理解せず、指示命令系統を守らない組織は、混乱やトラブルが生じる可能性があります。

また、社員間での役割の重複や、誰が何に責任を持っているか分からない状況が発生することで、業務が滞り、成果が出にくくなる可能性があります。

さらに、指示命令系統が統一されていない場合、上司からの指示を無視したり、自分の考えで行動する社員が出てくることがあります。

これは、組織内でのコミュニケーションや協力が妨げられることになり、業務の遂行に支障をきたすことがあります。

当たり前のように思えても、守られていないことがあるようです。

そんな組織において、指示命令系統の統一の原則を守らないとどうなるのでしょうか?

あなたの職場は大丈夫でしょうか

一度チェックしてみて頂くことをご推奨いたします。

 

そもそも会社組織とは

アメリカ合衆国の経営学者のチェスター・バーナードは、組織はシステムとして定義しました。

彼は、組織の3要素である、目的(共通の目的)、貢献意欲(協力する)、情報共有(コミュニケーションする)を示して、複数で構成されて、共通の目標を達せる人原の協同と表しました。

 

主な組織構造

組織は、専門職務、指示命令系統、管理範囲、責任と権限、規則を決める必要がある。

また基本的なものとして、機能(職能)別組織、事業部制組織、官僚制組織、マトリクス組織がある。

 

機能(職能)別組織

人事、総務、経理、営業、設計、製造、購買など機能別に部署を配置して、職能ごとにまとめた組織となります。

 

事業部制組織

取り扱う製品単位、顧客単位などといった事業単位で構成される組織構造となります。人事、総務、経理などの間接部門は独立していて、おのおのの製品や顧客毎に、営業や設計といった部署が配置されます。事業部間に競争原理がはたらきメリットとなる一方、顧客別の事業部制では同一類似製品が複数の事業部間に存在して、重複して、非効率的な面もあります。

 

マトリックス組織

前述の事業部制と機能(職能)制を複合した構造で、縦系列の組織と横系列の組織を組み合わせた形式です。機能(職能)制の専門性と、事業部制の競争原理によるメリットも同時に達成できます。ただし、1人が縦系列と横系列の組織となるため、指示命令系統や調整が混乱する場合もあります。

 

指示命令系統 統一の原則

どのような組織にせよ、目的(共通の目的)、貢献意欲(協力する)、情報共有(コミュニケーションする)を達成するために、ライン系統、責任や権限、実施職務が決められていることは前述でご紹介しております。

組織というのは多くの人が集まっております。

ここで、大事なことがあります。

指示命令系統の統一の原則です。

様々な人から様々なことを指示されては、混乱します。

また、様々な人から、同じことを、別々の方法で実施するよう指示されたら混乱します。

混乱だけならまだしも、実施できない、しいては目標を達成できないということになりかねません。

単純なことです、指示をする上司は一人で、報告する上司も一人ということです。

それが、指示命令系統の統一の原則です。

組織の運営にとっては、非常に重要な原則となります。

 

守らないとどうなるでしょう

指示命令系統の統一の原則はありますが、少なからず守られないことを体験したことがあると思います。

たまたまイレギュラーの場合はまだしも、それが日常化しているような組織があります。

それが多くみられる傾向があるのが、中小企業で部や課の役割や責任範囲が明確でない会社や、社長や取締役がワンマンで、部、課の管理職は関係なく指示されるケースも少なくありません。

管理職を飛び越えた指示、例えば部長が課長には指示せず、課員に直接指示する。

他部署からの指示、例えば営業課長から、設計の課長を通さずに課員に直接指示する。

このように、指示命令系統の統一の原則が、日常的に守られていないとどうなるでしょうか

 

部下の労務管理が不能

複数の上司が指示したら、指示した部下の業務の総量は本人しか分かりません。

複数から指示されていたら、本人さえも分かりません。

いったいこの部下の労務管理は誰がしているのかさえ分かりませんし、仕事の分量をコントロールすることすらできなくなります。

部や課の組織構造は成り立たなくなっています。

 

部下のモチベーション低下

誰の指示のもとで業務をしているのか。

違うことを様々な上司から言われてどうしてよいか分からない。

忙しくて間に合いそうもないときに、他の作業は知らない上司は何も考えずに指示してくる。

そんな状態では、仕事に対するモチベーションは低下するのは明白です

 

責任や役割の不明瞭化

このように指示命令系統が乱雑では、部としての役割、課としての役割、部としての責任・権限、課としての責任・権限などがないに等しい状態となります。

部や課といった組織がある意味が無いともいえます。

ある課の部下がやった仕事ですが、その課の課長が指示した仕事ではない

部下がミスや失敗をしたら

それは指示していない所属課の課長の責任でしょうか

 

このように、組織としての機能がはたらなくなり、組織としての構成が全く無意味になってしまいます。

それほど重要なものですので、もしあなたが所属している会社で、指示命令系統がばらばらであれば、正すべきものではないでしょうか。

ピーター・ドラッカーの名言があります。

良い組織は勝手には出来上がらない。

勝手に進化するのは、混乱、摩擦、間違った成果である。

まさしく、指示命令系統の大切さを表していますね。

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