「申し訳ありません。少々お話したいことがあるのですが、お時間よろしいでしょうか?」
部下からその言葉が出てきたら、イレギュラーな普段とは違う何かがあることがほとんどです
悩み事か、苦情か、愚痴か、そして今までの経験の中で一番多い「実は辞めたいのですが」という退職の意思表示か
わざわざ、このように言って来る時は、ほぼ9割以上の確率で、退職の意思表示のパターンです
部下からこのような退職の意思表示があった場合は、どのように対応したらよいのでしょうか。
おそらく退職の話を相談されるのが、第一線のラインの課長職というのが多いでしょうが、退職の申し出に対してどのような対応をすべきでしょうか
ここで紹介していきますが、どれも当たり前のことだとご指摘がくるかもしれませんが、意外とできていないことも多いのも否めません。
改めて、ご自身の対応も含めて見つめ直して頂ければと思います。
退職理由(なぜ転職したいか)を聞く
退職をする、転職をするには何かしら理由があるはずです。
前向きな理由というものもありますが、現在所属している会社の仕事内容、待遇、人間関係、勤務地など、何かしら負の理由というものがなければ、退職をする、転職をする決断には至らないことがほとんどではないかと考えます。
現在、所属している会社で、仕事もやりがいがあって、給与や賞与、年間休日など待遇もよくて、上司や部下、同僚などとの人間関係も良好で、勤務地も近くて便利で通勤しやすくて、といった何の不満がないのに転職を考える人はいないのではないでしょうか。
何かしら、負の理由が少なからず存在するはずです。
もう既に退職を決意して辞めていく人間は、決して本当のことはしゃべりません。
特にもう辞めることを決めているので、下手なことを話して、問題になることを好んでするようなこともありません。
差し障りのない理由を話してくるだけの場合がきっと多いでしょう。
退職をする真の理由を聞くようにしましょう。
自分自身が聞けなくても、まわりから聞き取りができるようにしておくこともひとつの方法です。
私の経験した例ですと、上司とソリがあわない、給与に不満がある、仕事内容に不満があるといったことがありましたが、最終的にラインの課長レベルより上の階層にはそれが伝えられたことはありませんでした。
上司には説明しなくても、同僚や、部下には真の理由を話しているケースがあります。
第2、第3の退職を出す前に打てる手がないか、対策するために退職理由を明確に、収集すべきです。
慰留をする
退職の意思表示をしてくる時点で、ほとんどが次の転職先会社を決めてから、もう辞めることを完全に決意してからくることがほとんどです。
この状態で慰留をしても無駄だろうと思って、「よし分かった、退職日はいつにする」と言った場合は、退職者はどう思うでしょうか。
「俺はもともと必要とされていなかったのか」「やめて正解だな」などと思われて、やはり同僚や部下などに話をされてしまうと、悪影響が広がってしまいます。
もしも、退職希望者が本当に辞めて頂いて良かったと思えるような方でも、必ずまず慰留をするようにしてください。
退職はあとくされなく、問題無くが基本で、それは退職者側のみならず、企業側も注意すべき点です。
退職したからといって、この先ビジネス上でのつきあいがある可能性もあります。
お互い納得ずくで、悪い印象をあたえずに退職の手続きをしましょう。
退職による影響・退職後の業務調整
退職をして、欠員が出るということは、業務だけが残ります。
退職者が実施していた業務は、誰ができるのか、引き継ぎする期間はどれほどか、増員のあてはあるのか
等をよく調査して、検討して、計画する必要があります。
退職をして、増員無しで、残されたものだけでこなすには無理があるようなものを、そのまま放置しておくわけにはいきません。
自社内での異動や、もしくは外部協力会社へ派遣社員の要請をするなど、業務を遂行するための調整をしなければいけません。
転職を決意して退職をする。
だいたい2割から3割の人が、転職している。
どんな優良企業においても、退職者を完全に0にすることは難しいことです。
企業にとっては、人が命です。
業務を円滑にまわすには、それをふまえて、退職者の対応をしたいものです。