管理職の役割とスキル

職場で克服すべき厄介なコミュニケーションのパターン8選

ビジネスにおいては、直接顧客と接する職種である営業職や接客サービス業の方はもちろん、直接顧客と接しない職種であっても、上司、部下、他部署など業務遂行のためのコミュニケーションは欠くことができません。
そのためコミュニケーション能力とは、社会人としては必ずそなえ、高めなければいけない能力となります。
本記事では、コミュニケーションの基本と、コミュニケーションが難しいケーススタディ別のコミュニケーション方法をご紹介します。

コミュニケーションとは

コミュニケーションとは「人と意思疎通を図ること」、「情報を共有すること」です。

コミュニケーション能力は、意思疎通や共有を的確に行うことができる能力です。

コミュニケーション能力を高めるためには、「相手にいかに的確に話し、伝える」ことだけでなく、「相手からいかに的確に情報を聞き、受け取る」かの双方向を充実させ、さらに相手を知り、自分も知ってもらい信頼関係を高めることができます。

片方向だけでなく、双方向での意思疎通を成立させるため、『伝える力』と『聴く力』の両立が重要です。

コミュニケーション能力

相手の話を聴く能力

コミュニケーションの基本は、相手の話を「聞く」のではなく「聴く」ことです。

「聴く」は能動的、積極的に耳を傾けること、「聞く」は受動的、自然に耳に入ってくることです。

相手の意図を正しく理解する、相手を尊重し、信頼関係を高めるためには、相手の話をしっかりと最後まで聴くことが重要です。

相手の話をさえぎって話し始める、相手の話が分かったら自分がその先を話し始める、相手の話を途中で否定するなどは、してはいけない行動です。

 

相手の話を理解する能力

次に相手の話を理解しないとコミュニケーションは成り立ちません。

ここで重要なのは、相手の話を聴き、理解する能力です。

相手が何を伝えようとしているのかを正確に把握することです。

相手の話を理解するには、まず聴く能力を高め、その内容を整理することです。

 

自分の考えを相手に理解されやすいように話す能力

前述しておりますが、相手の話を聴くだけがコミュニケーションではありません。

双方向で伝える、聴くのキャッチボールが必要です。

相手の話を聴き、自分自身の考え、意図を正確に伝えるためには、言葉にする力、さらに相手に理解されやすい言葉で伝えるという言語化能力が重要です。

コミュニケーション手法

話す内容の構成 PREP法

話す内容は思い付きで話す瞬間に出てくるのではなく、話す内容の構成を決めてから話す方はコミュニケーション能力が高い人です。
構成を考えていないと、話の一貫性がなく、本当に話したい意図が伝わらず、正しい情報が伝えられません。
この構成を考えるうえで、役立つ手法がPREP法と呼ばれる方法があります。
PREP方法以下の原則に則って話を順序だてて構成することで、相手に伝わりやすい、正しい伝達が行えることが可能となります。

結論(Point)   →結論は●●です~
理由(Reason)  →なぜならば~
具体例(Example)→例えば~
結論(Point)   →以上より結論●●です

 

非言語(ノンバーバルコミュニケーション)

聴く、話す以外にもコミュニケーションする手段はあります。

その一つが非言語(ノンバーバルコミュニケーション)です。

話し方、話す構成と言語領域も重要ですが、コミュニケーション能力を高めるためには、さらに非言語能力をあわせて高めることも重要です。

非言語(ノンバーバルコミュニケーション)とは、『話す、文書などの言葉以外』を使ったコミュニケーションで、『顔の表情、目の動き、声のトーン、仕草や身振り手振り、服装、身だしなみ』があげられます。

非言語は言語と同様、相手の非言語を理解する能力、自身の非言語を伝える能力の両方を高める必要があります。

非言語を理解する能力を高めるために、コミュニケーションをとる相手に対して、「興味を持ち接すること」「よく観察すること」「コミュニケーションの経験を蓄積すること」が大事です。日常のコミュニケーションで、言語だけ(いわゆる口だけ)を多用している方は上記を意識して行うようにしてください。

また逆に非言語を伝える能力も重要であり、言語だけでは伝わらない部分を補足する、あるいは相手の話を聴くために、相手に向き合い、うなずいたりすることで、相手が話しやすくすることも重要です。

 

メラビアンの法則

コミュニケーションを言語、非言語で分けた場合、相手の感情を理解するのに、非言語部分が90%を占めるといった法則になります。
どんな言葉を話しても、見た目で判断してしまう割合が多いことを示した法則です。
非言語の大切さを表しています。

 

コミュニケーション 10のケーススタディ実践

コミュニケーションの基本は分かりました。

しかしながら、職場においては様々なケースがあり、いったいどうしたら良いのか途方にくれるケースも少なくありません。

そんな、よくある対応に苦慮するコミュニケーションのケース別にご説明致します。

ゆとり世代

ゆとり世代とは、1987年から2004年生まれの『義務教育でゆとり教育』を受けた世代のことです。

義務教育である小中学校や高等学校など2002年から新しい学習指導要領となり大幅な変更が加えられた授業時間数や授業内容のことを「ゆとり教育」と言います。

変更は授業時間数の削減、教科内容の削減、完全週休二日制といった負担軽減が主で詰め込みでなく、ゆとりを持たせたことからゆとり教育と呼ばれています。

そんなゆとり世代とのコミュニケーションをとるにはどうしたら良いでしょうか。

なぜゆとり世代に対して管理職がコミュニケーションをとりづらいのか考えてみましょう。

全ての人に当てはまるわけではありませんが、ゆとり世代の一番の特徴はストレス耐性が弱いことです。「ゆとり教育」のもとで、競争が少なく育ってきたことにより、ストレスに弱く、少し注意しただけで極端に落ち込む、会社を辞めてしまうなどがみられるケースが多くあります。

ゆとり世代のネガティブな面だけを紹介しましたが、実はゆとり世代にもいい面があります。

前述しましたがコミュニケーションを円滑に進めるためには、相手の話を聴く、相手の話を理解する、非言語では興味を持ち、接すること、観察することをご説明しました。

ゆとり世代のポディティブな面は、真面目で素直であったり、創造的に優れていたり、一人で没頭するスキルがあったりといい面もあります。

ゆとり世代だからといった偏見をまず無くすこと。

ネガティブな面、ストレス耐性の弱さを考慮した接し方をして、相手の良い面を引き出してあげる取り組みが必要と思います。

 

年上の部下

年功序列、終身雇用の概念が崩れた昨今では「年上の部下」を持つことは少なくありません。

「年上の部下」に対してどう接したらよいか分からない、不安であることは否めません。確かに、年上の部下はコミュニケーションの出来次第で、非常に厄介な存在になります。

しかし、最適なコミュニケーションをとり、良好な信頼関係を築くことができれば、豊富な経験や考えを活かして仕事をサポートできるパートナーとなります。

そんな年上部下をパターン別にご説明します。

 

役職が外れた年上部下

元々自社の社員でバリバリと管理職をやっていた方が、役職定年や定年後の再雇用となった場合。

当然ながら組織に属さなければならないので、部下として配属されます。

このケースでは大半は年上部下となるのではないでしょうか。

まず役職というのは、その役があるからといって偉いわけではありません。

課長でしたら課長という役割を担っているだけです。大前提です。

そして、年上だからという理由で遠慮や、妥協してはいけません。

ただし、相手を受け入れてますという真摯な態度と、敬意を持って接する必要があります。

この立場になった本人も、役職が下がったということで、心にはダメージを負っていることも考えられます。

役職とは違う役割を担ってもらう必要があります。

妥協や、お世辞ではなく、相手のいい面を引き出して、それを他のメンバーにも認めさせるような、コミュニケーションが必要となります。

大切なことは、決してへりくだることはしないで、行動、仕事に対する敬意、感謝を考えることです。

 

中途入社の年上部下

自社に長年勤続していたわけではなく、中途入社で配属されたところ、年上であったことは往々にしてよくあることです。

このケースは逆に中途入社してきた本人も初めての会社、初めての職場ということで、特に年上、年下は気にしないこともあります。

しかしながら、年上ということは社会人としての先輩です。

自社の仕事、担当業務に関しては、年下の上司が詳しいことは確かです。

しかしながら、日常のコミュニケーションでは、礼儀、敬意を持って、仕事上の指示、教育は、偉ぶった態度を取らずに行うことが重要です。

 

管理職になれない年上部下

このケースが厄介かもしれません。

今まで、先輩として、上司としてやってきた人を飛び越して上司になってしまった。

同じ部署で飛び越すことは少ないかもしれませんが、元々知っていて、仕事を教えてもらっていた人であったら、やりづらいということは非常によく分かります。

そして管理職がやりづらいのと同様、年上の部下はもっとやりづらいと感じていることが多いと思います。

中には何であいつが、俺より何が優れているのかと悶々と疑問を持っていることは想像できます。

それでも、年下とはいえ上司です。

サラリーマンとして、逆らうことは御法度だと分かっています。

そんような心理状態で管理職がとるべきコミュニケーションがあります。

年下部下は、頭では分かっていても、自ら報告や連絡、相談を積極的にはやってきません。

悪気は無いかもしれませんが、深層心理でそうさせているかもしれません。

やはり、この場合は、年下部下の方から声がけ、前述もしたように、横柄になることなく、偉ぶることなく、敬意を持って話すことが必要です。

またこの時に感情的になって話すことはもちろんいけませんが、仕事として間違っていることは、間違っている、とはっきり話すことは重要です。

難しいケースではありますが、昨今ではよくあるケースです。

叱れない

最近、叱れない上司が増えてきているそうです。

その背景には何があるのでしょうか?

叱れない理由として

  • 部下に嫌われる
  • 部下との良好な関係性が崩れる
  • 部下が辞めてしまう
  • どう叱っていいか分からない
  • パワハラと指摘されたくない

などがあります。

ここで、一つ言いたいのは、上記のように考えるのは、叱ると怒るを同じに考えていませんか。

怒るということは、感情的に自分自身に発生した怒りを相手にぶつけることです。

一方叱るということは、相手のことを思って、間違いを正す、教えて理解させることです。

相手のことを思ってというのは、相手のことをよく観察し、相手のことを思いやり、分かりやすい言葉、表情、仕草で伝えることです。

自分の怒りを相手にぶつけるのでありません、コミュニケーションをとるのです。

叱るとは、相手を正してあげようとするコミュニケーションです。

 

意見が対立することが恐ろしい

職場では、会議や方針決定において意見が対立する場面が多々あると思います。

意見が対立することが恐ろしくて、自分の意見が言えないという方もいらっしゃいます。

それはなぜでしょうか?

それは叱れないでも述べましたが、関係性が崩れることを恐れているのではないでしょうか。

ではなぜ関係性が崩れるのでしょうか。

コミュニケーションができていないからです。

今まで育った環境も違う、考え方も違う、価値観も違う。

意見が分かれても仕方がないのです。

お互い理解しあうのがコミュニケーションです。

意見が対立したら、相手の考えをよく聞いて、一つ一つ整理するしかありません。

そして、本当に正しいと双方で納得した結論にするだけです。

 

言われた通りにしか動かない

言われたことしかできない部下をどうしたらいいという悩みはよく聞きます。

部下はなぜ言われたことしかできないのでしょうか。

確かに本人の能力の問題はあるかもしれません。

原因はそれだけでしょうか?

指示の仕方、コミュニケーションの問題も多々あります。

例えば、本当にやることだけを部下に伝えていませんか。

「〜の書類のこの部分を〜のように修正して」

「この資料をこの宛先に送っておいて」

実施することだけを指示しているケースが多くないですか。

仕事をするには、なぜこのようなことをするのか、しないとどうなるのかといった背景があります。

それを知らずして、実施する事柄だけが話される。

それでは、どうしてこの仕事をしているかということまで考える習慣がつきません。

〜だから、〜の状態だから、〜をしてください

と一言理由を付け加えるだけでも、言われたこと以外の背景、必要事項を考えるクセがつき、一つの仕事を行う理由を考えることが習慣となります。

 

常に聞いてくる

ここで言う常に聞いてくるは、

同じことを何度も常に聞いてくる

自分自身が考えて、動くべき中堅社員、ベテラン社員が、常に聞いてくる

という場面を想定しています。

このような場面のコミュニケーションとしては、聞いてきたことに対して、逆に質問することです。

「これはどうしたらいいのですか?」

「●●さんは、どうしたらいいと思う?」

「どうすべきか、●●さんの考えを教えてください?」

これは暗に考えてくださいと伝えるよりも、効果がある方法です。

 

仕事が目一杯でと断る

このパターンは人によって理由が違ってくるのではないでしょうか

  • 仕事に対するモチベーション不足
  • 仕事をやりたくない
  • 従いたくなく

職場で、上記のように思われては問題ですが、少なくない原因です。

ではなぜこのような心理になるのでしょうか?

やはりコミュニケーションです。

相手が何を考えているのか

相手がなぜ、そのように思っているのか

相手のことをコミュニケーションによって理解することが重要です。

相手がどのように考え、仕事を拒否する心境に至っているかを探ることが必要です。

その結果、どう対策するか考えるべきです。

 

人の話を聞かない、反抗する

話を聞かない、反抗するということは信頼関係はなく、上司に対する敬意も無いと考えられます。

コミュニケーション以前の問題にも思われますが、結局は人対人はコミュニケーションによって成り立ちます。

コミュニケーションが無ければ、問題は解決しないままです。

やはり、このケースでも同じく、なぜ相手がそのような態度を取るのかを解明する必要があります。

職場にてこのような態度をとるのは異常です。

異常が故に、話を聞き、相手を理解して伝える。

それが重要です。

 

いかがでしたか?

コミュニケーション無しでは、はじまりませんね。

今日から少しでも実践していくことをお勧めします。

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